ONE OK ROCKやColdrainが使い手として知られるロックボーカルテクニック「シャウト」。
荒々しく力強くて、自分もあんな風にシャウトしたいって思いますよね。
しかし、いくら頑張って叫んでみても、ただの叫び声になってしまって何かが違うという経験は無いでしょうか?
それはもしかしたら「シャウト」というボーカルテクニックをしっかり理解できていないからかもしれません。
そこで今回は、
- シャウトとは何か
- シャウトを出すための準備
- シャウトの練習方法
- シャウトの危険性と注意点
について解説します。この記事を参考に、理想のシャウトを手に入れましょう!
目次
シャウトは大きく分けて2種類ある!
「シャウト」は歪んだしゃがれ声としてひとくくりにされがちですが、実は2種類の「シャウト」があるのはご存じでしょうか?
シャウト習得のためにまず、これら2つの違いを理解しておきましょう。
シャウトの種類
1.フォールスコードスクリーム
フォールスコードスクリームは「グロウル」とも呼ばれる比較的低く、獣のように唸るような声(シャウト)のことです。
フォールスコードスクリームでは声帯を開いて、そこに過度の空気を送り込み、歪んだ声を出します。Lamb of GodやJinjerが例としてあげられますね。
以下の動画では、1:11のところからフォールスコードスクリームを使っています。
2.フライスクリーム
「フライスクリーム」はフォールスコードスクリームよりも高く、弾ける様なイメージのシャウトです。ONE OK ROCKのTAKAさんが使うのは主にこちらのシャウトですね。
フライスクリームでは逆に声帯を閉じ、そこにボーカルフライ(エッジボイス)を送り込みしゃがれた音を出します。
以下の動画は、ONE OK ROCKのシャウト集です。すべてフライスクリームですね。
シャウトを出す前の準備
では、実際にシャウトはどのように出すのかについて話していくのですが、以下は必ず念頭に置いておきましょう。
『シャウトはれっきとしたボーカルのテクニックであり、ボーカルの基礎ができていなければ、いくらシャウトだけを練習しても習得は出来ない』
ということです。
実は、シャウトは腹式呼吸や共鳴などを完璧にして初めてできる「高等技術」。シャウトが使われている音楽から、発声の基礎を無視した技術というような認識を持っている方は考えを改めましょう。
もしあなたがボーカル初心者なら、まず基礎的な発声から練習することをおすすめします。
基礎的な発声練習
1.ウォームアップ
ウォームアップですが、普段行っているもので構いません。ストレッチをして身体をほぐし、リップロールやハミングなどで喉を温めましょう。
そして全身鏡を使い、姿勢を整えます。背筋は伸ばし、かつそりすぎず、リラックスした状態を維持しましょう。
ウォームアップや姿勢に関してはクラシックボーカルの方を参考にするのが1番です。クラシックという音楽は教育や学問として発展してきました。
そのため多くのクラシックボーカリストは専門家達によって確立されたメソッドを行っており、参考にするのに最も安全で確実なのです。
2.腹式呼吸を意識しよう
シャウトだけでなく、歌を歌うときの基礎になりますが、シャウトで大事なのが「腹式呼吸」。
というのは、「フォールスコードスクリーム」では開ききった喉を埋めるだけの息の量が必要で、肺呼吸ではその空気をとてもまかないきれないからです。
そして「フライスクリーム」では、声帯や音を響かせる位置を調整しなければいけません。そのため、腹式呼吸で安定した空気の供給を行う必要があります。
腹式呼吸の練習方法については以下の動画で解説しているので参考にしてください。
3.喉を開く練習をしよう
腹式呼吸が出来たら次は喉です。
シャウトをする時には喉はしっかり開いていなければなりません。
「え?でもフライスクリームをするときは声帯を閉めるんですよね?」と思った方がいるかもしれませんが、ボーカルにおいて「声帯」と「喉」は別物なんですね。
ここでは深く触れませんが、「喉は開いて、声帯は閉じる」がフライスクリームの正解です。
では、「喉を開く」にはどのような練習が必要なのでしょうか?
実は「ファルセット」を身につけるのが近道なのです。「ファルセット」は簡単に言ってしまうと、「裏声」を使った歌唱法ですね。
なぜファルセット習得がシャウト上達につながるかというと、ファルセットは喉がリラックスして開ききっていないと出来ない歌唱法だからです。
そして、シャウトのように喉に極端に負担のかかるモノではないので、喉を開く感覚を練習するにはちょうど良いんですね。
シャウトを練習する際の注意点
冒頭からずっと述べていますが、シャウトというテクニックは本来回避すべき「危険なテクニック」です。
シャウトの使い手達は歌手生命が短い傾向にあります。そのため、「一生歌い手として生きていきたい」という方には、はっきり言ってお勧めしません。
それでもシャウトを使いたいんだ、という方は次のルールをしっかり守って練習を行ってください。
シャウトを練習する際の注意点
長時間の練習はNG!
声帯というのは身体の中でも非常に繊細な器官です。シャウトを一切使わず、安全な歌い方をしている人でも、何かの拍子に痛めてしまうことはよくあります。
シャウトの練習をこれから始める方は、1日5分程度から始めてください。慣れてきても、最長で30分でその日の練習は切り上げましょう。
練習時間の目安
- 初めての方→5分程度
- 慣れてきた方→最長で30分程度
また、声帯の調子は毎日同じではありません。「昨日15分練習したんだから今日もそのぐらい行けるはずだ」ということは無いので、少しでも違和感を感じたらその時点で練習はストップしてください。
上手いボーカリストの音源を聴いたり、歌詞を覚えたり、声を使わなくても出来ることはたくさんあります。
こまめに水分を取ろう
水を飲んでください!
乾燥は声帯の大敵です。シャウトを使わない時でも、常に水分補給をすることを強くお勧めします。
お茶の方が良いという方はカフェインの入っていないモノにしましょう。少量のハチミツをとかしたぬるま湯もおすすめです。
必ずウォームアップをしよう
ウォームアップも必ずしてください。
シャウトというのは、声帯にとって「過激な運動」です。普通の健康的な歌い方をジョギングくらいのものだとしたら、シャウトはバク転で100m走をするようなものです。
必ず身体をほぐし、声帯を十分に温めてから練習を始めてください。
【種類別】シャウトの出し方と練習方法
安全確保のための前置きが大分長くなりましたが、実際にシャウトの練習方法について見ていきましょう!
シャウトの出し方と練習方法
1.フォールスコードスクリーム
まずは唸るようなシャウト「フォールスコードスクリーム」から、ステップバイステップで見ていきましょう。
ステップ1:大きい声を出す
とにもかくにも「声量」というのは大事なファクターになってきます。ボリュームがないとただのうなり声になってしまいます。
腹式呼吸で、正しい姿勢で、正しい発声方法で、「アー!」と大きな声を出してみましょう。
ステップ2:唸る
今度はただの唸り声を出してみましょう。
「声」と言っていますが、フォーカスすべきは「息」。太い息を、リラックスして開かれた喉と声帯に思いっきり通してみましょう。
つぶつぶと泡が弾けるような音がしたら成功です。「声」と言うより「音」ですね。
ステップ3:1と2を合わせる!
十分な声量と正しい唸り声が出来ればもう「フォールスコードスクリーム」は目の前です。
シンプルに、唸り声に大きな声を乗せていきましょう。最初はバランスや音程が難しいかもしれませんが、録音をしたり誰かに聞いてもらったりして調整しましょう。
2.フライスクリーム
続いてフライスクリームの練習方法。
フォールスコードスクリームとは大分違うプロセスなので、これも1つずつ見ていきましょう。
ステップ1:裏声で歌う
まず、フライスクリームで歌いたい歌の箇所を「裏声」で歌ってみてください。こうすることにより、声(シャウト)を、頭がい骨の正しい位置に響かせることが出来ます。
裏声が出来ないという方はまず基礎的な技術の習得からですね。
ステップ2:ミックスボイスに変える
裏声は基本的には吐息中心の声なので、シャウトを乗せることは出来ません。そこで、その裏声に芯を通し、ミックスボイスにしてあげます。
ミックスボイスがよく分からないという方はそこから勉強を始めてみてください。
ステップ3:絞る!
絞ります!でも喉では無いです。喉はリラックスして開いたままですね。
絞るのは「鼻」。もしくは「ベルトライン」ですね。
顔のベルト(ズボンのベルトでは無く歌唱法のベルト)をかける位置に思いっきり音を響かせてみてください。そうすると、ガリッとした声(シャウト)
が出ると思います。
それがフライスクリームです。
これも録音してみて、ONE OK ROCKやLinkin Parkなどの音声と聞き比べてみてください。
【参考】高音の出し方も練習しておこう!
絶対NG!喉を痛めるシャウトの出し方
先ほども述べましたが、シャウトは訓練を積み習得するべき技術であり、気合いや雰囲気でどうにかするモノではありません。
気をつけないと、シャウトが身につかないどころか、喉を潰しかねません。
避けるべき、危険な「喉を痛めるシャウトの出し方」を見ていきましょう。
喉を痛めるシャウトの出し方
1.何も意識せずにただ叫ぶ
一つ目は「何も意識せずにただ叫ぶ」。絶対にやめてください。
シャウトを使いこなしている人は、何も考えずに感情にまかせてシャウトしているように聞こえますが、それは完全に勘違いです。
彼らも最初は試行錯誤し、練習を重ね、シャウトの技術を磨き上げてきたのです。
発声の基礎と正しいシャウトの方法をしっかりと「意識」してください。
2.息を大量に出して声を歪ませる
二つ目は「息を大量に出して声を歪ませる」。力技で無理矢理シャウトっぽいことをすると言うことですね。
冒頭でも「過度の空気を送り込む」という記述をしましたが、これはあくまで「コントロールされた過度の空気」ということ。
どれくらいの空気が声帯に送られているのかをしっかり理解しており、決して闇雲に息をしまくっているわけではありません。
【参考】男性におすすめのカラオケ曲!
シャウトをかっこ良く出したいならボイトレがおすすめ!
さて、ここまで読んでいただけたのなら分かると思いますが、なかなかの量の専門用語が出てきたと思います。シャウトはそれだけボーカルの知識が備わっていないと出来ない技術ということです。
ロックやメタルを歌う人の中には「ボイトレなんかしないぜ」と言う方がたまにいますが、ロック・メタルという特殊なジャンルを歌うには基礎的なボイトレは必須です。
少ないですが、シャウトを含めたロックボーカルのレッスンを行っているボイストレーナーの方もいます。以下の記事でいくつか紹介しているので参考にしてください。
【参考】おすすめのボイトレ教室はこちら
【参考】ボイストレーニングで得られる5つの効果
まとめ:シャウトを習得して盛り上げ隊長になろう!
音楽の凄みが一気に増す「シャウト」。
皆さんも今日からちょっとずつ練習を始めて、ロックスターのようにかっこよく歌いましょう!
参考リンク:
こちらでは、一瞬で歌が上手くなる方法を解説しています。カラオケで自信を持って歌えるようになりましょう。