「ファルセットを使ってキーの高い曲を歌える人が羨ましい…」
「ファルセットを使いこなせるように練習したい…」
ただ、いざ自分がファルセットで歌おうとすると、声がかすれてしまったり、喉が痛くなってしまう人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、
- ファルセットの正しい知識
- 今から実践できる練習方法
を紹介します。
正しい方法で練習して、ファルセットを出せるようになっちゃいましょう!
目次
ファルセットとは?
ファルセットとは、一般的には裏声を使って歌うこと。
ただし、実は「裏声」には3つの種類があり、ファルセットはそのうちの1つに過ぎないのです。
それぞれの裏声の違いを見ていきましょう。
1.ファルセット
まずは本題のファルセット。
ファルセットは裏声の中では「息漏れのある弱い歌声」の部類に入ります。優しく、繊細な印象になるので、バラードやボサノバなどで多く使われますね。
また、ファルセットを使うと、音量を上げることが出来ないので、ロックや熱唱系の曲にはあまり向いていません。
ファルセットの使い手
平井堅さん、EXILEのATSUSHIさんなどが挙げられます。
2.ミックスボイス
2つ目はミックスボイス。
人によって説明の仕方が大分変わるのですが、簡単に言うと「地声成分の入った裏声」です。
ファルセットのような儚げな印象は残りつつも、芯のある、響く歌声になります。地声では辛い音域だけど完全に裏声を使うまででは無い、なんていう状況に効果的な歌唱法です。
ミックスボイスの使い手
高音域に入った時の久保田利伸さんや、槇原敬之さんが当てはまります。
3.ヘッドボイス
最後にヘッドボイス。完全に芯の入った裏声です。
ファルセットに近いのですが、ファルセットとは違い、頭がい骨全体にしっかり響いているため、儚げで優しい印象はあまりありません。その代わりに、力強く、ダイナミックな歌声になります。
ヘッドボイスの使い手
クラシックのソプラノ歌手や、B’zの稲葉さん、マライア・キャリーさんなどはヘッドボイスを得意としていますね。
以下の動画で、ファルセット、ミックスボイス、ヘッドボイスの違いを実演してくれているので参考にしてください。
ファルセットがかすれてしまうのはナゼ?
さて、ファルセットがどういう歌唱法なのか分かったところで、「なぜファルセットで歌おうとすると声がかすれてしまうのか」という疑問にアプローチしていきます。
結論から言ってしまうと、技術不足です。
じゃあもっとたくさん練習しよう!と思われた方、やめてください!
声帯はとても繊細な器官なので、「質より量」の概念は、ボイストレーニングにおいてとても危険です。
大切なのは正しい練習を無理なく毎日行うことです。
では、具体的にどのような練習をすれば良いのか見ていきましょう!
ファルセットを出す練習法と4つのコツ!
ファルセット習得に効果的なエクササイズ4つを紹介します。
今回は、
- ファルセットを出せる身体を作るエクササイズ
- 実践で使えるようになるエクササイズ
をピックアップしました。
どれも今すぐ試すことの出来るものになっているので、是非一緒にやってみてください!
ファルセットを出すコツ1.喉をリラックスさせよう!
まず、ファルセットに限らず、歌を歌う上で大事なことになるのが「脱力」です。
ファルセットのような高い声を出そうとすると、どうしても力んでしまいますが、完全に逆効果である上に、喉を痛める原因になります。
では、喉をリラックスさせるにはどうすれば良いのでしょうか?
代表的なモノだと、「リップロール」がありますね。リップロールとは、唇を閉じた状態で息を吐き出し、唇をブルブルと振動させるエクササイズのことです。
このリップロールのエクササイズが、喉や顔面の筋肉をリラックスさせ、ファルセットを出すのに適した状態にしてくれます。
歌う前に必ずリップロールをするなど、習慣にすることが大切です。
以下の動画でリップロールを使ったトレーニング方法を解説してくれているので参考にしてください。
◆動画のポイント
リップロールのコツ(2:16)
- 唇を突き出す
- 強めの息で唇を弾く
- 頬を押さえて持ち上げる
- 口角を指で持ち上げる
効果的な練習方法(6:00)
- 音程なしで10秒間リップロールをする
- 音程ありで10秒間リップロールをする
- 音程を自由に動かす
- リップロールで歌う
ファルセットを出すコツ2.鼻歌で練習しよう!
続いて有効な練習法が 「鼻歌」 。
なぜ鼻歌がファルセットの習得に有効かというと、鼻歌がそもそも息漏れの声だからです。鼻歌をしている時点でファルセットに近い発声になっているわけですね。
また、鼻歌はリラックスした発声を身につけるのにも適したエクササイズです。
鼻歌を力んで歌う方が難しいですからね。
まず、自分のよく知っている曲を鼻歌で歌ってみて、息の漏れる感覚や、喉の力が抜ける感覚を確かめてみましょう。
その脱力感がファルセットにつながります。
ファルセットを出すコツ3.腹式呼吸を習得しよう!
どんなジャンルの歌を歌う上でも必ず身につけなければならないのが「腹式呼吸」です。
音楽の授業や歌のレッスンでも、最初に触れられるトピックですね。
それでは、なぜ腹式呼吸がファルセット習得に重要になってくるのでしょうか?
それは、ファルセット習得には「息のコントロール」が欠かせないからです。息が弱すぎると、高い音は出ないし、強すぎると裏返った声になってしまいます。
そのため、腹式呼吸を習得し、息を自在にコントロール出来るようになることが、ファルセットには重要になってくるわけです。
◆腹式呼吸と胸呼吸の違いを知ろう!
感覚的に腹式呼吸と胸呼吸の違い認識しましょう。違いを知ることで、歌っているときに腹式呼吸で歌えているのか意識できるようになります。
腹式呼吸
腹式で息を吸うと腹回りが膨らんで、腹回りが元の位置に戻ります。
胸式呼吸
胸式で息を吸うと胸、肩が大きく膨らんで上がり、息を吐くと胸、肩が元の位置に戻ります。
なぜ歌うときは腹式呼吸がいいのか?
両者とも、息の出入りは肺です。胸式は肺の上部から、腹式は肺の下部から息を入れていきます。
肺に息が入る量は、圧倒的に胸式呼吸に軍配が上がります。しかし、歌を歌うのに適しているのは腹式呼吸です。
何故なら胸式呼吸だと、肺の容量100%近い息を入れても、声を発したとたん一気に息が肺から出ていってしまいます。これでは歌う息が続かないですよね。
一方、胸式に比べ息容量の少ない腹式呼吸は、歌に使う息の量をコントロールすることができるので、ロングトーンなどの長い息を必要とする歌い方でも対応できるんですね。
腹式呼吸の練習方法については、以下の動画で分かりやすく解説してくれているので参考にしてください。
◆動画のポイント
腹式呼吸のコツ
息を吸うのではなく勝手に入ってくるイメージを掴む。
腹式呼吸のやり方
- 姿勢を整える
- 右手を胸、左手をお腹に添える
- 息を限界まで吐く
※この時、頭や肩が動かないこと、腹筋に力が入っていることを意識する - 吐ききったら、緩める
※息が勝手に入ってくるイメージを掴む
ファルセットを出すコツ4.裏声と地声を往復する練習をしよう!
さて、ファルセット自体がキレイであることも、もちろん重要なのですが、同じくらい重要なのが ファルセットのコントロール。
練習では難なくファルセットを出せるけど、いざ歌の中で使おうとすると上手くいかない、ということは多いですよね。
そんなもどかしい状態を打破するのが往復練習です。往復練習とはその名の通り、地声とファルセットを往復する練習です。以下の動画を参考に見ていきましょう。
ファルセットをコントロールするための練習方法
- 地声→ファルセット→地声→ファルセットの順に発声する
※声の質感を地声とファルセットで統一しよう。
まず、地声での高音域の音を出してみてください。
その後、音程を上げてファルセットで歌う音域に入ります。
また、地声の音域に戻る。
地声→ファルセット→地声→ファルセット
ですね。これをくり返します。
この練習を行うことで、地声とファルセットの切り替わりがスムーズになり、「ここはファルセットだ!」と思ったときに、喉がスッとファルセットモードになってくれます。
どれぐらい音程を上げるのかというと、まずは 「完全5度」から、つまりドからソのインターバルですね。
「完全5度」 とか「インターバル」が分からない方はなんとなくで問題ありません。
◆自主練する時は正しい方法で練習できているか注意しよう!
今すぐにできるファルセットの練習方法を紹介していきましたが、正しい方法で練習できているか注意しましょう。
間違った方法で練習して変な癖がついてしまうと、一向に成長しないだけでなく、癖をとるのに同じ時間が必要になってしまいます。
もし、発声の知識がないのであれば、ボイトレ教室でプロの講師に教えてもらうのが一番確実かつ最短でファルセットを習得できますよ。
以下で地域別におすすめのボイトレ教室をまとめているので参考にしてくださいね。
ファルセットの練習におすすめの曲3選!
エクササイズの反復練習はもちろんとても大事なのですが、平行して行いたいのが「曲を使っての練習」です。
ファルセットの練習にぴったりな3曲をピックアップしたので、1曲ずつ見ていきましょう。
1.さくら:森山直太朗
1曲目は森山直太朗さんの「さくら(独唱)」。
今でも歌い継がれる名曲ですが、この曲がファルセットの練習に適している理由は2つ。
分かりやすさとテンポです。
聞いてもらうとすぐに分かるのですが、どこが地声で、どこがファルセットかがはっきり分かります。
そして、テンポがゆっくりなので、一つ一つのファルセットに集中できるのも嬉しいですね。
コードも簡単なので、弾き語りをする方にもおすすめです。
2.365日:Mr.children
続いてはモンスターバンドのMr.children。
名曲「365日」も、ゆったりとしたバラードで歌いやすいですね。
ファルセットが多用されるというわけではありませんが、全体として吐息混じりの歌い方で歌われています。
ファルセットが使われるのはサビの「言葉を持たぬラブレター」の部分。
何が良いかというと、ファルセットに行く前に、音程が少しずつ上がっていき、ファルセットの部分にアクセントが置かれているので、準備がしやすいんですね。
ここぞという時のファルセットの練習にぴったりの曲です。
3.STAY:コブクロ
こちらも名アーティストですね。
「STAY」でファルセットが出てくるのはサビの1フレーズ目の終わり。1小節丸々ファルセットです。
ロングトーンでのファルセットを習得するならこの曲ですね。
黒田さんは地声が低いので、男性でファルセットを習得したい方は参考になりますね。
歌唱力をアップさせたいならボイトレがおすすめ!
いろいろなコツをお話ししてきましたが、ファルセットを含め、様々なテクニックを手に入れるには地道に練習を重ね、歌の基礎力を上げていくのが1番です。
今はYouTubeなどで、多くのボイトレのレッスンを無料で観ることが出来ますが、やはり1番確実なのがその道のプロに直接指導してもらうことですね。
長年悩んでいたことが、プロのアドバイスによって、ものの1時間で解決してしまうなんてことはよくあることです。
今は気軽に受けることが出来るレッスンも増えてきているので、独学で行き詰まってしまっている人はボイトレのレッスンを受けてみてはいかがでしょうか。
【参考】おすすめのボイトレ教室はこちら
まとめ:ファルセットを習得してハイトーンの曲を歌いこなそう!
冒頭でも述べましたが、ファルセットで大事なのは「正しい理解」と「正しい練習」そして「無理をしないこと」。
これさえ徹底すれば、100人中100人がファルセットを習得できます。
あなたも今日から1つずつ練習を始めて、諦めていたあの曲を歌いこなしませんか?
参考リンク
音域を広げて好きな曲を思いっきり歌いたい方は以下を参考に。
音域を広げる方法について徹底解説しています。
https://vodemy.jp/articles/23673